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嶋のブログ

既存不適格建築物とは

2025年11月19日
既存不適格建築物とは

既存不適格建築物
既存不適格建築物とは、法改正や都市計画の変更等の事後的な事情変更により、建築当時は適法であった建築物が、現行の建築基準法令の規定に適合しなくなってしまったものをいいます。法律の改正は、遡って適用されませんので、たとえば、ある建築物が、建築基準法における規制が厳しくなったために既存不適格建築物となってしまったとしても、建築基準法違反(後述する違反建築物)とは扱われず、原則としてそのままの状態で存在することが認められます。ただし、一定規模を超える増改築を行う場合には、不適格な状態を解消して、建築物全体が建築基準法令の規定に適合したうえでないと、増改築を行うことができません。

違反建築物
違反建築物とは、既存不適格建築物とは異なり、建築当時の時点で法令に違反している建築物をいいます。具体的には、建蔽率・容積率の制限に違反したもの、敷地の接道義務に違反したもの、違法な増改築・用途変更を行ったものなど、建築基準法令の規定又は法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物等は違反建築物となります。

既存不適格建築物や違反建築物について、登記簿の床面積を掛け算して既存不適格建築物だとか違反建築物だとか判断して説明を行っている宅建士がいますけど、建築基準法冷等に違反しているか否かの判断(評価)は、行政庁が行うものであり、宅建業者が行うものではありません。

戸建やビル等の売買は、建築時の資料(設計図書や竣工図等)と現況が一致しているか否かを慎重に調査して、建築基準法に抵触している可能性が高ければ「可能性が高い」という趣旨の説明に留めることが大事だと思います。

買主様が金融機関から購入代金の融資を受ける場合は、融資審査の提出書類に重要事項説明書も含まれますし、その結果、建築基準法に抵触する物件は融資が受けづらくなる場合もあるので、なおさら慎重な調査と説明が求められます。

対象不動産は既存不適格建築物であり~
と断定する説明が重要事項説明書に書いてあったら、
ちゃんと根拠はあるのか?
宅建士の判断ではなく行政庁等の判断を仰いだのか?
と必ず質問するようにしてくださいね。

また、宅建業者は、新築の違反建築物については、仮に、違反建築物であることを買主が理解して承知していたとしても、取引に関与してはいけないので、宅建業者側も注意しましょうね。